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ざぶん賞実行委員会理事(審査選考委員長)
作家
安部龍太郎 安部龍太郎

 ざぶん賞は全国の小・中学生に命や自然、そして水の環境を守ることの大切さを考えてもらいたい、という趣旨で始まったものです。
 文章という形で表現するためには、問題の現状や本質を自分なりにとらえ、意見として組み立てる必要があります。そうした経験をつみ重ねることによって、水や川、海の大切さに気付いてほしいと考えてのことでした。
 全国から集まった文章を選考委員会で審査し、優秀作は画家やイラストレーター、工芸作家などの作品を添えて表彰します。ですが本賞のもっとも大きな特色は、応募してくれたすべての子供たちの作品を、ボランティアの方々の協力によって活字化し、「ざぶん大使認定証」と一緒に返送することにあります。そうすることでこの運動に継続して関わる意欲を持ち、賞の運営にたずさわるすべての人々と共に新しい潮流を起こしてもらいたいと願っています。
 自然破壊や環境汚染は、人間のエゴイズムがもたらしたものです。これを改めるには、一人一人が内なる欲望を自らの英知で乗り越えるしかありません。そうした自制的な人々が多数を占め、国や世界の世論を動かした時に、人類は初めて己に巣くう病魔のような問題を克服し、よりよい未来を切り開くことができるのだと思います。
 ざぶん賞はそのための小さな一歩です。しかしこうした地道な活動を通じて自分の意識を少しずつ変えていく以外に、充実感のあるよりよい生き方はできないのではないでしょうか。
 どうか作品をじっくりとご覧いただき、自然や環境のことについて考えるきっかけにしていただければ幸いです。

●Profile
1955年、福岡県生まれ。
1991年、古代から幕末までの日本通史を悲劇の英雄を主人公に描いた小説集「血の日本史」でデビュー。骨格確かな作風と、日本史の根幹に関わる大きなテーマに果敢に挑む姿勢が、注目を集める。主な著作に「彷徨える帝」「関ケ原連判状」「神々に告ぐ」「海神」「下天を謀る」「信長燃ゆ」「恋七夜」など多数。2012年日本経済新聞で「等伯」を連載。2004年「天馬、翔ける」で第11回中山義秀文学賞を、2013年「等伯」で第148回直木賞を受賞。東京都在住